ディクソン 編 中野好夫 訳 岩波書店
前回紹介した「アラビアン・ナイト 上」の続きの巻です。この本には「シナの王女」「魔法の馬」「ものいう鳥」「アリ・ババと四十人の盗賊」など、六編が収められています。その中の、「魔法の馬」を紹介したいと思います。
昔、ペルシアのお正月の元旦の日、(ネヴローズというそうです。)宮廷でお祭りが開かれていました。あるインド人が、作り物の空飛ぶ馬を王様に見せに来ました。ペルシアのフィローズ・シャー王子は、その馬がどんなものか確かめようと馬に乗ってみましたが、操り方を知らなかったため、そのままどんどん空へ飛んでいくことになったのでした。王子が着いたのは、ベンガルの国の宮殿でした。そこにいたベンガルの王女と恋に落ちた王子は、結婚するために王女を連れて空飛ぶ馬でペルシアの都に舞い戻ります。ところが、王女はあのインド人にさらわれ、しかもその後でカシミールの皇帝のとりことなってしまうのでした…
最後に王子が王女を見つけ、ハッピーエンドとなりますが、それまでに、二人はいくつもの試練を乗り越えなければならなかったのでした。ペルシア、ベンガル、カシミールが舞台の、スケールの大きなお話です。
他に「シナの王女」と「ものいう鳥」が好きなお話です。