世界むかし話 東欧

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訳 松岡享子 絵 クリスティーナ・トゥルスカ ほるぷ出版

 チェコスロバキア、ルーマニア、ユーゴスラヴィア、ポーランド、ハンガリーの昔話が、この本に収められています。挿絵が、この本の昔話の雰囲気にぴったり合ったものばかりです。私は、特に裏表紙の絵が好きです。「子どもと馬」というお話の挿絵です。若者がおとめを馬の背の自分の前に乗せて、森の中を駆け抜けていく場面です。遠くには赤い屋根のお城も見えます。おとめの桃色のドレスや、若者の赤い色の服も素敵です。

 「魔女に追われたむすめ」というポーランドのお話を紹介したいと思います。ひとりの年取った悪魔が、若くて美しい娘を妻にしたいと思いました。そして、領主の娘の器量よしのスタロチェンカに目を付けました。悪魔は、年取った魔女にスタロチェンカをさらってくるように言いました。魔女は、こじきのなりをしてスタロチェンカに近づきました。そしてむすめをさらおうとしましたが、スタロチェンカは、自分がさらわれようとしていることに気づくと、力いっぱい駆け出しました。長い間逃げ続けましたが、魔女もスタロチェンカをどこまでも追ってきます。とうとう魔女は、おんどりに乗って、空からスタロチェンカを追います。その時、若くて美しいある城の城主が、魔女をめがけて弓を射ました。魔女は地面に落ち、みるみるうちに灰になってしまいました。そして、ゆうかんな城主とスタロチェンカの結婚式が執り行われたということです。

 他のお話は、「羊飼いの花束」「水底の主ニッカーマン」「バーテク王」などがあります。不思議な雰囲気を味わえるお話が多いと思います。

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