魔法使いのチョコレート・ケーキ マーガレット・マーヒーお話集

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石井桃子 訳 シャーリー・ヒューズ 画

 子どもの本の作家のマーガレット・マーヒーさんのお話集から、児童文学者の石井桃子さんが好きな、不思議なお話を選んで訳したのがこの本です。8つのお話と、2つの詩が入っています。

 「ミドリノハリ」というお話を紹介します。テディの家の周りには、松の木がぐるっと生えています。その松の木の中の一本が、大きな音を立てて倒れました。テディは、その倒れた松の木を自分の家にして遊んでいました。

 ある日、テディがその松の木の松葉のカーテンを押し開けると、部屋がありました。そこには、ミドリノハリという松葉でできた上着とズボンをまとった白髪の男の人がいたのでした。その人は、自分は、ものを縫う仕事をしているが、自分を永久にそばに置こうとしている力のある女王から逃げているのだ、と言いました。ミドリノハリは、テディに、だいじょうぶと分かるまで、この緑の部屋にいさせてもらっていいだろうか、と聞きました。テディは、もちろん、と答えました。

 それから何週間か経ちました。その日、テディは一人でお留守番をしていました。その時、突然ドアが開いて、知らない人たちが3人入ってきました。一人は男の人で、軍人のような恰好をしていました。もう一人は羽飾りのつけてある兜をかぶった女の人でした。もう一人はとても小さい、黒い杖を持った老人でした。3人はミドリノハリを探しに来たのです。けれども、テディは知らないと言って、ミドリノハリを立派に助けたのでした。

 普段の生活の中に、魔法が入り込んでいるようなお話が多いです。文章の中にも、時々幻想的な表現が入り込んでいるかんじがしました。

 

 

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