石井桃子 編・訳 富山妙子 画 のら書店
前に、偕成社文庫の「ギリシア神話」を紹介しましたが、こちらは、のら書店のギリシア神話です。石井桃子さんが、イギリスやアメリカで子どもたちに愛読されているいくつかのギリシア神話の本をもとに、この本を作ったそうです。
子どもたちに語り聞かせられるようなこの本の文章を読んでいると、ギリシア神話とは昔から人々に親しまれてきたものなのだろうなということが感じられます。
「アポロンとダフネ」のお話が心に残りました。小さな愛の神のエロスは、太陽の神のアポロンの胸に、一番先に見たものを好きにならせる力を持つ金の矢を射かけました。それから、エロスは、今度は川の神の娘のダフネに恐れの気持ちを抱かせる鉛の矢を射ました。このときアポロンが最初に見たものは、ダフネでした。アポロンはダフネを愛して、ダフネをどこまでも追いかけました。アポロンが足を速めれば速めるほど、ダフネはもっと早く逃げました。アポロンに追いつかれそうになった時、ダフネが父である川の神に助けを求めると、川の神はダフネを木に変えてしまいました。アポロンは、この木を自分の木にすることにしました。それからというもの、アポロンはいつもこの月桂樹の冠をかぶっていたのでした。
日常の中で使われている言葉や、星座や、神様たちについて改めて深く知ることができると思います。また、ロマンチックで重厚な雰囲気を、楽しいお話として味わうことができます。