クマのプーさん

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A・A・ミルン 作 石井桃子 訳 岩波書店

 前に、この「クマのプーさん」のシリーズの詩の本や、料理の本を紹介しました。今回は、クマのプーさんの物語の本を紹介したいと思います。

 私は、この本の語り口がとても好きです。ゆったりとしたペースで進んでいき、少し難しいと思われるような物事や、人物の気持ちなどは、優しい言葉で丁寧に説明していきます。小さな男の子のクリストファー・ロビンと、彼の持っているぬいぐるみたちが、百町森という森のなかで一緒に過ごしているというお話なのですが、ぬいぐるみたちのほんの些細な気持ちの動きなども丁寧に語られています。落ち込んでいても、この本を読んでいると、段々心が落ち着いてきます。

 プーさんがウサギのところにお客に行って、つい食べ過ぎてしまうお話や、イーヨーがしっぽをなくしてしまい、またそれを見つけるお話、クリストファー・ロビンがみんなと一緒に北極を探検しに行くお話などがあります。

 私はこの本のまえがきが心に残っています。どうしてプーさんが、プーという名前になったか、ということなどが書かれています。プーさんは確かにクリストファー・ロビンのお気に入りですが、クリストファー・ロビンは、ポケットにとても小さいコブタを入れておいて、七かけるニが、十二だか二十二だかわからない時に、コブタにさわってみるのはとてもなぐさめになるのだ、といっています。この本の言葉の隅々までが、この小さいコブタのように、毎日を生きていくうえでとても癒しになります。

 

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