アンシア・デイビス再話 エロール・ル・カイン絵 灰島かり訳 ほるぷ出版
はるかな昔、サー・オルフェオという王様がおりました。勇敢で慈悲深いサー・オルフェオには、うるわしいヒュロディスというお妃がおりました。ところが、ある日、ヒュロディスは、不気味な大王の国にさらわれてしまいました。竪琴の名手でもあったサー・オルフェオは、竪琴を手にヒュロディスを探しに行きます。
このお話は、中世の吟遊詩人たちが語り伝えていたお話だそうです。
前回紹介した、「キャッツ」の絵を描いた画家のエロール・ル・カインが、この「サー・オルフェオ」でも絵を描いています。この絵本の絵には文様が細かく描き込まれ、きらびやかに鈍く光っている感じがして、中世の雰囲気を感じます。エロール・ル・カインは、アイルランドの「ケルズの書」という、ケルトの文様で装飾された古い聖書を、この絵本を描く時の参考にしたそうです。
ギリシア神話の中の一つが、このお話のもととなった話ですが、出てくるさまざまなモチーフは、ケルトの伝承からくるものも多くあるそうです。
古い時代の文化を感じる、香り豊かな絵本です。