公園のメアリー・ポピンズ

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P.L.トラヴァース 作 林 容吉 訳 岩波書店

 メアリー・ポピンズが、バンクスさんの家を今までに三度訪れた間に起こったことが六つの短編として楽しめます。メアリー・ポピンズと子どもたちは、よく公園へ散歩に行くのですが、そこで色々な不思議なことが起こるのです。

 一番最初のお話の、「どのガチョウも白鳥」では、メアリー・ポピンズが、子どもたちにお話をしてくれます。そのお話に出てくるガチョウ番の女の子は、自分は姿を変えた王女なのだと思っています。ブタ飼いの男の子は、自分は姿を変えた王子なのだと思っています。ガチョウたちは自分たちを姿を変えた白鳥、ロバたちは自分たちを姿を変えたアラビア馬なのだと思っています。けれども、そこにやってきた陽気な浮浪人が、みんなに王女や王子、白鳥やアラビア馬がどんな苦労を背負いながら毎日を生きているのか話してあげると、みんなは途端に自分たちはただのガチョウ番やブタ飼い、ガチョウやロバのままでいるほうがよい、と思ってしまうのです。

 けれども、このお話を聞き終わったジェインは、「だけど、だれか、ほかのものがわたしのなかにいるの。いつも、感じでわかるのよ。」と思うのでした。

 他にも、ジェインとマイケルのお気に入りの童話集から三人の王子様が飛び出してきたり、メアリー・ポピンズの誕生日の前夜祭であるハロウィーンの日にみんなでダンス・パーティをするお話などが好きです。

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