北欧神話 

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P・コラム 作 尾崎 義 訳 岩波書店

 北欧の神話を子ども向けに語り直した本です。9世紀から何世紀にもわたって口伝えで伝わってきた「エッダ」という歌謡集と、13世紀にスノッリという人が書き表した「スノッリのエッダ」という散文による書物が、北欧神話を構成する主な書物だそうです。この本には、チュール、オージン、トール、フリッガなどの神様が出てきます。その名前が、Tuesday(チュールの日)、Wednesday(オージンの日)、Thursday(トールの日)、Friday(フリッガの日)のように、英語の曜日の語源になっています。

 高い山の頂上には、アースガルドという神々の住む町がありました。また、そこから遠く離れた北東の果てに、ヨーツンヘイムという巨人たちの住む国がありました。神々と巨人たちの間では、いつも戦争がありました。

 私の好きな話があります。「フレイが巨人の娘ゲルダをおよめさんにもらい、魔法の剣をなくした話」です。アースガルドに住む神様のフレイは、神々の父オージンの見張りやぐらに上って世界を見渡しました。すると、ヨーツンヘイムで、一人の美しい巨人の娘が家から出てくるのが目に留まりました。フレイは、ゲルダというその巨人の娘のことばかり考えこんで、その晩は眠れませんでした。フレイはゲルダをお嫁さんにもらおうと思いましたが、ゲルダのそばに行くために、フレイは「自分の一番大切にしているものをやってしまわなければならない」と父に言われるのです。フレイは、自分が一番大切にしている魔法の剣を家来のスキル二ルにやって、ゲルダのところに使いに行ってもらわなければならなくなります。ゲルダは結婚の申し込みをなかなか受け入れませんでした。けれども、スキル二ルがゲルダを魔法の剣で脅し、ゲルダにフレイと合わせる約束をさせました。9日目の晩に、フレイにあったゲルダは、自分が無理矢理にも約束をさせられたことを、嬉しく思ったのでした。二人は、いつまでも幸せに暮らしたということです。

 他にも興味深いお話がたくさん入っています。これは何の比喩なのかと考えながら読むのも楽しいです。

 

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