帰ってきたメアリー・ポピンズ

倉庫

P.L.トラヴァース作 林 容吉 訳 岩波書店

 以前紹介した、「風にのってきたメアリー・ポピンズ」の続きの巻です。バンクスさんの家に、メアリー・ポピンズがまた戻ってきて、子どもたちのお世話をすることになりました。メアリー・ポピンズといると、いつも不思議な出来事が起こります。それらの出来事が一つ一つの章になっているので、どの章から読んでも楽しめます。

 「風船、風船!」という章が好きです。メアリー・ポピンズと子どもたちが、一緒に買い物に行きます。その帰りに、子供たちは風船売りのおばあさんから風船を一人一つずつ買ってもらうのです。風船売りのおばあさんは、子どもたちに「ゆっくり選ぶんだよ。間違ったのを取って、一生を曲げちゃった子が、たくさんいるんだから。」と言います。子どもたちは、無事、自分の風船を選ぶことができました。不思議なことに、正しい自分の風船を選ぶと、その風船に自分の名前が書いてあるのです。

 このお話を読んで、私も「自分の風船」をきちんと選んでいるのだろうか、と考えました。「この世のだれにだって、ちゃんと一つずつ風船があるってことさ。」と風船売りのおばあさんは言います。

 楽しい物語を味わいながら、自分のことを深く考えることもできる本だと思います。

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