渡辺洋子・茨木啓子 編訳 こぐま社
昔からアイルランドの民衆が語り伝えてきた物語が、本になりました。この本は、タイトルにもあるように、子どもたちに読んで聞かせてもいいし、自分で読んでも楽しいです。
この本の最後にのっている、「世界の果ての井戸」というお話を紹介したいと思います。昔、アイルランドにコナーという王子がいました。コナーは継母から憎まれ、世界の果ての丘にある井戸の水を三つのびんに汲んでくる、という、強い命令、ゲッシャをかけられます。ゲッシャとは、決して断ることのできない命令で、もし断れば、名誉を傷つけられて、一生、辱めを受けなければならないのです。コナーは世界の果ての丘に向かって、馬を走らせるのでした。果たして、その井戸の水を持ち帰ることはできるのでしょうか。
アイルランドでは、妖精が身近にいるらしく、他のお話では妖精が出てくるものがいくつかあります。妖精は、人間に親切にしてくれることもありますが、少し怖い存在として語り伝えられているものが多いのではないかと感じました。
この本を読んでいると、月の照っている静かな夜が思い浮かびます。魔法の行われるような不思議な世界を味わうことができます。