ディクソン 編 中野好夫 訳 岩波書店
昔、アラビアの国々のテントや、せまい町通りには、物語を面白く話して聞かせてくれる語り手がいました。もとの「千一夜物語」には、264編の物語があります。女の人を信じられなくなったある皇帝が、新しく迎えたお妃に死刑の宣告をします。けれども、賢いお妃は毎晩皇帝にお話を語るのです。夫の皇帝は、話の続きが聞きたくなって一日一日と死刑の執行を遅らせます。最後にお妃は許され、めでたく二人は結ばれます。そのお妃が語ったお話が「千一夜物語」なのです。
今回紹介する本は上下2巻で、子供向けにやさしく編まれています。この本にある「ペルシア王と海の王女」を紹介したいと思います。
昔、ペルシアの国にある王様がいました。この王様が、とても美しい一人の女奴隷をお妃に迎えました。ところが、そのお妃は、全く口をきかないのです。口をきかないお妃と王様との間に王子が生まれると、王様は、お妃にお前が口をきけないとはどうしても思えない、と話しかけます。すると、なんとお妃は口を開いて、王様に今までのお礼を言うのでした。そして、自分は海の世界の王の娘なのだ、と言うのでした。
このお話の続きの「ベーデル王とジャウワーラ姫」「船乗りシンドバッドの航海」などが入っています。