アデル・ジュラス 作 神戸万知 訳 岩波書店
「ジゼル」「コッペリア」「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」「火の鳥」の六つのバレエの物語が収められている本です。私はバレエのことはあまりよく分からないのですが、この本にある六つの物語は、そのバレエを実際に観るだけではなく、お話として読んでも楽しめると思いました。
「眠れる森の美女」を紹介したいと思います。バレエでは、悪い妖精のカラボスが、王様の娘のオーロラ姫の洗礼式に呼ばれなかったことを怒り、オーロラ姫に「16歳までは幸せに、美しく育つだろう。しかし、16歳の誕生日を迎えた時、錘で指をさし、ぱたりと死ぬだろう。」という呪いをかけます。しかし、リラの精のおかげでオーロラ姫は100年の眠りにつくことで呪いを免れ、フロリムント王子の口づけで目覚めることになります。
この本の物語では昔話とは違って、「オーロラ姫」「フロリムント王子」「リラの精」「カラボス」など、登場人物に名前が与えられています。「眠れる森の美女」のバレエを映像で観たことがあります。バレエにもいろいろな演出のパターンがあると思いますが、この本では、カラボスが黒い引き車に乗って去っていく場面や、オーロラ姫が求婚者たちと一人ずつ踊る場面、また、フロリムント王子がリラの精に姫の幻を見せてもらう場面など、バレエならではの場面が盛り込まれていると思いました。
バレエを見る前の予習として読むにも、物語としてこれらのお話を楽しむにも良い本だと思います。

