カナリア王子 イタリアのむかしばなし

倉庫

イタロ・カルヴィーノ 再話 安藤 美紀夫 訳 安野 光雅 画 福音館書店

 魔法の香りの漂うロマンチックなイタリアの昔話が6編入った本です。

 題名にもなっている「カナリア王子」を紹介したいと思います。昔、あるところに美しい王様の娘がいました。娘は継母にねたまれて、遠い森の中の城に侍女を何人かつけられて閉じ込められてしまいました。侍女たちは、娘を外に出さないように、窓から顔を出させないように厳しく言われていました。

 娘は立派な部屋で何不自由なく暮らすことができましたが、城の外に出ることは許されません。侍女たちは自分たちだけで楽しく遊び、娘には目もくれませんでした。

 王女は、毎日城の窓から外を眺めていました。ある日、窓から見える森の中の小道を、一人の王子が通りかかりました。二人は、お互いが好きになりました。王子は、毎日そこへやってきて、二人は、指先でキスを投げ合いました。

 あるとき、王子がいつものようにやってくると、魔法使いのマスカが顔を出して、ホッホッホと笑いました。そして、二人を会わせるお手伝いをしてあげようといって、王女にある本を渡しました。それは魔法の本で、王女が本のページを前からめくっていくと、人は鳥になります。後ろからページをめくっていくと、鳥は人になります。

 王子はカナリアの姿になって王女のところに飛んでいき、また人の姿になって、王女の前にひざまずくのでした…

 古風で、きらびやかな感じのするこの本のお話が好きです。他に、「太陽のむすめ」「サルの宮殿」「リオンブルーノ」などが好きです。

タイトルとURLをコピーしました