レイモンド・ブリッグズ 評論社
ある朝、男の子が目覚めると、雪が降っていました。男の子は急いで外に出て、雪だるまを作りました。石炭で目を付け、帽子をかぶせてマフラーも巻いてあげました。
その日の夜、男の子は自分の作った雪だるまが気になって、起きだしてきました。すると、その雪だるまは帽子を取って男の子に挨拶をしたのです。雪だるまは、まるで本当の人間のように動くことができるのでした。男の子は、雪だるまを自分の家の中に招待しました…
この絵本には、文章がありません。絵だけで物語が進んでいきます。文章はないけれども、雪だるまが、家の中の猫をかわいがったり、暖炉の火におびえたり、キッチンの氷を食べて喜んでいる様子などが丁寧に描かれていて、心が温かくなります。男の子も、人間の家に入るのが初めての雪だるまが、楽しそうに電気をつけたり、水道から水を出したり、洗剤の容器を持ってみたりする様子をやさしく見守ってあげています。そして、雪だるまがうっかりガスの火を付けてしまってびっくりしたり、頭をぶつけてしまったりしたときは心配してなぐさめています。最後に、雪だるまは男の子を連れて夜の街の空を飛ぶ冒険に連れて行ってくれます。
色彩がやわらかく、雪だるまの黒い石炭の目が可愛らしいです。絵から、冬の夜、家の中でのわくわくした気分が伝わってきます。

